コラム

雨樋のサイズは何を基準に選べばいい?サイズの選び方を2つ紹介!

雨樋(雨どい)は、屋根に降る雨を集め建物の外へと排水する機能を持っています。

雨樋が正しく排水機能を発揮するためには、適切なサイズ選びは非常に重要です。

今回の記事では、軒樋(のきどい)や竪樋(たてどい)のサイズ選びにおける注意点を紹介します。

雨樋のサイズ選びのポイント

雨樋のサイズを決める際のポイントは、2つあります。

ひとつ目は、メーカーの排水能力表を活用することです。

ふたつ目は、降雨量と雨樋の排水量を照らし合わせて必要サイズを調べることです。

メーカーの「排水能力表」を確認

活用方法

使用する雨樋のメーカーが決まっている場合は、各メーカーのカタログやホームページに掲載されている排水能力表を使用して軒樋と竪樋の組み合わせを選定すると良いでしょう。

お住まいの地域の「降雨強度」の欄を確認し「屋根投影面積」を確認してください。

降雨強度は地域によって異なります。該当する降雨強度の屋根投影面積以上に対応できる軒樋と竪樋の組み合わせを探しましょう。

例えば以下は、Panasonicが公開している排水能力表です。

パナソニック|排水能力表

用語解説

※降雨強度とは気象庁が発表している数値を元に計算され、特別な豪雨を除き5~6年に1度程度現れる「瞬間的に強く降った雨の1時間あたりの降雨量」のことです。

※屋根投影面積とは、住宅を上から見たときに屋根を地面に投影して現れる面積のことです。この場合の投影面積は、竪樋1本あたりが受け持つ屋根の奥行×軒樋の長さで算出されます。該当する屋根に接して立ち上がる外壁がある場合、その外壁面積の50%を投影面積に加算するケースもあるため注意してください。軒樋・竪樋の大きさを小さいものに変更したい場合などは、竪樋の配置や本数を見直し竪樋1本あたりが受け持つ屋根の面積を調整する必要があります。

降雨量と雨樋の排水量を計算

計算方法

メーカーカタログに排水能力表がない場合や、軒樋の勾配数値が意図するものに対応していない場合は、計算フォームなどを利用して降雨量と軒樋・竪樋の排水能力を計算することができます。

複数メーカーからシミュレーション用のツールが公開されているため、使いやすいものを活用してください。

SAKISUI|エスロンタイムズ

Denka

軒樋の勾配ってなに?と思った方は是非以下の記事をご覧ください。

【雨樋】建物において雨水排水に欠かせない雨樋と勾配の関係とは?

計算ロジック

雨樋のサイズの計算ロジック

下記の条件を満たす雨樋が適合サイズです。

降雨量<軒樋の排水量

降雨量<竪樋の排水量

①降雨量を計算する

降雨量=屋根投影面積×1秒間の降雨強度

竪樋1本あたりが受け持つ屋根の奥行×軒樋の長さで算出される「屋根投影面積」に「降雨強度」を掛けて計算します。

②軒樋の排水量を計算する

各メーカーの用意している計算フォームを利用する場合は、軒樋の種類を選択すれば自動的に計算を行ってくれます。

軒樋の排水量=1/安全係数(1.5)×軒樋排水有効断面積×排水速度

・安全係数

安全係数とは、軒樋に溜まった落ち葉や砂などによる排水有効面積の減少を考慮した数値です。

・軒樋排水有効断面積

軒樋排水有効断面積は軒樋の幅×高さで計算します。

・排水速度

排水速度は軒樋の素材や勾配の数値により変わります。

③竪樋の排水量を計算する

各メーカーの用意している計算フォームを利用する場合は、竪樋の種類を選択すれば自動的に計算を行ってくれます。

竪樋の排水量=流量係数(0.6)×竪樋排水有効断面積×√2・重力加速度・高度水頭

・流量計数

流量計数とは、雨水に気泡や渦が発生することで水の流れが悪くなることを仮定して定められた数値です。

・竪樋排水有効断面積

竪樋を真横に切った時の断面の大きさのこと。

・高度水頭

軒樋の有効排水高さのこと。

雨樋のサイズ選びを誤ると起きるトラブル

雨樋から雨水が溢れる

雨樋から雨水が溢れる

軒樋のサイズが屋根の大きさに対して小さすぎる場合、屋根から流れてくる雨水を受け止めきれず雨水が軒樋から溢れてしまいます。

溢れた雨水は外壁や建物基礎の汚れ・傷み、雨音による騒音を引き起こします。

竪樋が細すぎる場合も同様です。軒樋から流れてくる雨水を十分な速度で排水し切れず軒樋から雨水が溢れる事態となります。

雨樋から水漏れが発生した場合の対処法については、以下の記事で紹介しています。

雨樋からの水漏れを防ぐ方法と改善策 | 4つの原因と対策のご紹介

雨樋が破損しやすくなる

雨樋は住宅の劣化防止

雨樋のサイズが小さすぎると、屋根から流れてくる雨水の水圧によって破損のリスクが高まります。

一般的に、大きな面積を持つ屋根には、より大きく頑丈な雨樋が必要となるためサイズだけでなく素材選びも重要です。

雨樋の素材ごとの特性については、以下の記事で紹介しています。

【雨樋の種類】形状や素材ごとの特徴や価格、耐久性まで徹底解説!

外観のバランスが悪い

屋根に対して雨樋が大きすぎる場合、もしくは竪樋の本数が多すぎる場合、建物全体のバランスが崩れ美観が損なわれます。

十分な排水量を確保する必要があるものの、大は小を兼ねるというわけでもないのが難しいところです。

外観とのバランスを考え、適切なサイズの雨樋を選ぶ必要があります。

住宅の外観における雨樋の重要性については以下の記事でも触れているため、雨樋の見た目や色バランスが気になっている方は是非ご覧ください。

家の印象を左右する雨樋の色選び:おすすめの色と劣化対策やリフォームでの色変更方法

まとめ

雨から建物を守るためには、屋根への降雨量以上の排水量を持つ適切なサイズの雨樋を選ばなければいけません。

排水機能を維持するためには、サイズ選びに加え適切な勾配による取り付けや定期的な掃除も必要です。

雨樋計算には専門的な知識が必要で、ご自身で適切な雨樋のサイズを判断することは非常に難しいと思います。

そういった場合は、建物の設計や排水要件をきちんと理解している専門業者にご相談ください。


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