銅製の雨樋の魅力とは?経年変化や格式演出に注目|特徴と種類を徹底解説
目次
お寺や神社などで見かけることの多い銅の雨樋。
銅はその経年変化の美しさから、古くから寺社仏閣の屋根や装飾、雨樋などに利用されてきました。
和風住宅との相性も良く、格式高さを演出してくれます。
今回はそんな銅製の雨樋の特徴や種類などをご紹介していきます。
尚、銅製に限らず雨樋自体の役割については以下の記事で説明しているため是非併せてご覧ください。
銅特有の色味「緑青色」
銅製の雨樋は寺社仏閣などの日本建築や和風住宅で広く使用されています。
新品時の銅本来の光沢ある赤銅色から、少しずつ落ち着いた褐色に変わり、数十年の年月を経て「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる奥深い緑色に変化していきます。
「緑青」とは銅が酸化することで生成されるサビのことです。表面が皮膜で覆われることで、内部の腐食を防ぎ耐久性を高める効果があります。
銅製雨樋は他素材の雨樋と何が違うのか
最大特徴は【経年美化を楽しめる風情ある外観】
銅製雨樋は、風情のある外観に仕上がります。
格式高さを演出する見た目や経年とともに変化する色合いは、長く生活を共にすることで実感することのできるわびさびでしょう。
他の素材に比べ加工が容易なため、集水器部分に見られるような装飾を施すことができる点も銅製雨樋の特徴で、家紋を取り付けることも可能です。
耐久性は高いが経年劣化は発生する
ハイブリッドタイプの銅製雨樋の登場
100年以上持つと言われる耐久性の高い銅製雨樋でも、環境によっては数十年で穴があいてしまうことがあります。
穴があく主な原因は、雨水が同じ箇所に何度も落ちる際の衝撃です。
雨水が樋に落ちる際、同じ箇所にその衝撃が続くことで緑青ができた部分を削ってしまい、新たに緑青が生成されては削られることを繰り返すことで穴があきます。
それらの欠点を補うために、近年では他素材を組み合わせることで耐久性を高めたハイブリッドタイプの雨樋も登場しています。
よくある誤解「○○のせいで穴が開く」
ちなみに穴があく原因として、過去に陶器瓦の釉薬やいぶし瓦の炭素膜が酸性雨で流れ出し穴をあけるのではと言われたことがありますが、検証の結果これらの反応は確認できませんでした。
外壁に用いられる塗料でも同様に、ほぼ影響はありません。
屋根に別の金属が使われている場合にはそのサビが酸化原因となる可能性もあるものの、通常銅製雨樋を用いる住宅においてはその他の部分も全て銅製のものが用いられるので可能性は低いです。
陶器瓦やいぶし瓦について詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【瓦の種類ガイド】素材別に解説!素材ごとの特長と魅力|屋根てっぺんリフォーム
銅製雨樋は価格が割高
理由①:需要が減少
需要が減少傾向にある理由は、和風住宅の減少にあります。
近年の住宅デザインの流行として和モダンと呼ばれるような住宅は増えているものの、純和風住宅の減少に伴い銅製雨樋の需要も減り、よりシンプルでスタイリッシュな雨樋が好まれる傾向にあります。
理由②:作れる職人が希少
銅製雨樋の需要減少とともに、銅製雨樋を作る職人も減少しています。
社寺仏閣に使用される紋や装飾の入った意匠性の高い雨樋は、細工のできる高度な術を持った職人の手により作られてきました。
しかし近年は職人不足や後継者不足により技術を伝えていくのが難しい現状です。
現在、銅製雨樋を販売しているメーカーは少なく、需要減少と職人不足が価格面にも影響し、他素材の雨樋に比べて割高な傾向にあります。
メーカーから販売される銅製雨樋を紹介
銅製雨樋を販売しているメーカーの各種雨樋の特徴をご紹介します。
タニタハウジング「SusCu」
銅ならではの風合いと、ステンレスが持つ強さを併せ持つ雨樋。
ステンレス鋼に純銅を熱融着させたハイブリッド雨樋で、接合部が金属結合のため、変形や剥離に対しても強さを発揮します。雨樋内部は耐候性に優れたステンレスですが、外面は銅素材そのままのため趣のある色合いや経年変化が愉しめます。
タニタハウジング「スーパー銅雨とい」
銅単体で成形された昔ながらの雨樋。
銅板の厚みを0.4mmにすることで耐久性を向上させるとともに内側表面に塗膜処理を施すことで、耐候性を向上させています。
まとめ
銅製雨樋は高級感や緑青の発生などが、わびさびといった風流を好む日本人の感覚に受けいれられ、古くから使用されてきました。
近年はなるべく目立たない雨樋が選ばれることが多いですが、銅製雨樋の場合は住宅の格式高さを演出してくれるツールとしての役割もあります。
他素材の雨樋に比べて割高ではあるものの、長く住む住宅において経年美化を楽しめる雨樋素材であることは唯一無二の特徴です。
予算と相談しながら検討してみてはいかがでしょうか。
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