コラム

個性的なガーゴイル雨樋!その歴史や日本での設置方法などを紹介!

みなさんは「ガーゴイル」という言葉を聞いたことがありますか?

西洋建築の屋根で見かける怪物などをかたどった個性的な石像のことです。

この石像はただの装飾ではなく、実は雨どいの機能を持っています。

今回の記事では、ガーゴイル雨樋の歴史や日本での設置方法などについて詳しくご紹介していきます。

ガーゴイル雨樋とは?

アミアンノートルダム大聖堂のガーゴイル

ガーゴイルとは、雨樋の機能を持つ怪物などをかたどった彫刻のことです。

主に西洋建築の屋根に設置され、屋根から流れてくる水の排出口としての役割を果たしています。

怪物の姿をしたガーゴイルは中世以降に登場しますが、悪魔や架空の動物、普通の人間や動物をモチーフにしたものなど、幅広い形態のガーゴイルがあります。

ガーゴイル雨樋の歴史

古代エジプトの時代から存在するガーゴイル

ガーゴイルは宗教的意味合いや魔除けの意味もあり、その歴史は古いようです。

古代エジプト時代には寺院の屋根の上にガーゴイルがあり、その吐き出す水で聖杯などを洗っていました。

また古代ギリシアの神殿では、大理石でできたライオンの口から水が流れ出るようになっていたり、古代都市ポンペイでも、様々な動物をかたどったガーゴイルや発見されています。

装飾性の高いガーゴイル雨樋の登場

ゴシック建築

動物の姿をした石造りの雨樋は古代からありましたが、ガーゴイル雨樋がより装飾性の高いものになっていったのは13世紀頃でした。

もともと中世ヨーロッパの聖堂建築には、雨樋がありませんでした。

しかし、13世紀に多く建設されたゴシック建築の大聖堂は、高く急勾配の屋根を特徴としており、雨水が勢いよく流れ落ちるようになっていました。

そのため、雨水が壁面を濡らして漆喰を侵さないように、外壁から離して水を落とす吐水口が必要となりました。

その吐水口がより装飾的に造形されるようになり、空想上の動物や怪物などをかたどったガーゴイルもこの時代に生まれました。

19世紀の建築家ヴィオレ・ル・デュックによると、大聖堂に初めてガーゴイル雨樋が設置されたのは、1220年頃のラン大聖堂(フランス)で、獣の顔と前足を備えていたそう。

装飾的なガーゴイルはその後、あっという間にフランスからヨーロッパ中に広がりました。

  • ノートルダム大聖堂(フランス)

パリノートルダム大聖堂

ノートルダム大聖堂のガーゴイル雨樋は、石の上部を溝状に彫って、首のところから口に排水口を開けたタイプが多いです。

ノートルダム大聖堂の鐘塔基部の展望台にいる、パリ市街を見下ろす翼を持った怪物は、雨樋の機能を持っていないのでガーゴイルとは言えませんが、ガーゴイルのデザインから派生して生まれたものでしょう。

  • ミラノ大聖堂(イタリア)

ミラノ大聖堂

ミラノ大聖堂は14世紀後半に着工し、完成したのは19世紀。ガーゴイルなどの装飾は、主に19世紀の作品で、多くは第二次世界大戦後に修復されたものです。

影をひそめるガーゴイル雨樋

ヨーロッパ中に広まったガーゴイル雨樋ですが、15世紀に入りルネサンスの時代になると、建築様式の移り変わりに伴い、ガーゴイルも表舞台から姿を消します。

19世紀以降、再びゴシック建築が再評価されるようになりますが、この時期のゴシック・リヴァイヴァルの建物には、ガーゴイルがまったく無いか、あっても地味な扱いのものでした。

再び脚光を浴びるガーゴイル雨樋

ロンシャンの教会

20世紀に入り、ル・コルビジェのロンシャンの教会が発表されたことで、ガーゴイルは建築の表現として再び脚光を浴びました。

ロンシャンの教会のガーゴイルは、通称「象の鼻」と呼ばれており、雨水の通る穴が2つ開いています。

ガーゴイルの下にはコルビジェがデザインした水受けが設置されています。

コルビジェは以降の作品でもガーゴイルを多用しており、ゴシック様式時代のガーゴイルとは全く異なる表現で、現代建築に大きな影響を与えました。

日本で見られるガーゴイル雨樋

ガーゴイル雨樋は歴史の中でそのデザインも大きく変わり、雨の流れを視覚化し空間の意匠として利用するための手法として、変化していきました。

日本でもガーゴイル雨樋を採用した建築がありますので、いくつかご紹介します。

  • 香川県立体育館(1964年/丹下健三)

香川県立体育館

コの字型のガーゴイルの先には池が設けられ、滝の様に流れ落ち雨水を受けます。

  • 横浜市開港記念会館(1917年/山田七五郎、佐藤四郎)

横浜市開港記念会館

四角の塔の頂部でドーム状の形態に切り変わる部分の四方にガーゴイルがあります。一見すると大砲に似せた装飾のようで、美しいシルエットをつくり出しています。

  • 上野寛永寺

上野寛永寺

寺社や書院には軒樋、竪樋をつけない例が多くありますが、上野寛永寺では参拝をする正面のみに樋が設けられています。

その端部は象の鼻のようなガーゴイルになっており、その下には蓮の葉のような美しい水盤があり雨を受けるデザインになっています。

タニタハウジング|近代建築のガーゴイル雨樋

ガーゴイル雨樋は日本でも設置できる?

日本でガーゴイル雨どいを設置したい場合、部品を特注で製作するか、海外から取り寄せ施工することは可能です。

タニタハウジングやパナソニックなど、大手雨樋メーカーでは特注品の製作も行っております。

既製品の雨樋に色を合わせてガーゴイル雨樋を製作することなども可能です。

パナソニック|特注雨樋

ただし、ガーゴイル雨樋から排出された雨水の処理を正しく行わないと、雨水が地面に水たまりを作り、建物の基礎の劣化を招く可能性もありますので、施工の際は注意が必要です。

垂れ流しにした雨水が引き起こすトラブルについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。

雨樋から地面に雨水を垂れ流していても大丈夫?トラブルリスクと解消法

まとめ

一般的な住宅では、雨樋はなるべく目立たないようなデザインを選びます。

一方で、ガーゴイル雨樋はあえて装飾的な造形にしたり、雨の流れを視覚化し雨そのものを楽しむ趣旨も持っており、同じ雨樋でも様々な見せ方があることが分かります。

ガーゴイル雨樋など特殊な雨樋には施工上注意しなければならない点もありますので、設置をお考えの方はまずは専門業者へ相談してみましょう。


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